理数キャリア夏期勉強会特別授業 Arduino講座
8月20日・21日の2日間、理数キャリアコース1年生に対して、夏期勉強会の午後の特別授業として、文京学院大学人間学部准教授の長野祐一郎先生がArduinoというマイコンを使った授業をしてくださいました。長野先生は生理心理学などを専門にされている先生で、ご自身の研究の実験においても、マイコンにセンサーなどを繋げて自作された計測機器を活用されているそうです。
1日目のテーマは「生体計測を体験しよう!」ということで、Arduinoに温度センサーと液晶モニターをつけた簡単な機器で、皮膚温の測定を行いました。
人間の手には放熱することで体温調節するという大切な役割があり、緊張やストレスなどにより微妙に体温が変化します。こうした数値を正確に計測することで、自律神経の働きなどを数値的に把握することができます。今回は罰ゲームつき(?!)のすごろくを行うことで、緊張とリラックスの変化を体温から計測しよう、という実験を行いました。
すごろくの進捗に盛り上がりながらも、記録係の生徒は冷静に細かくデータを記録していきます。収集したデータをグラフ化しながら、その結果について意見交換をしました。心理学の実験の一端を体験できた授業でした。
2日目のテーマは「Arduinoによるフィジカル・コンピューティング入門」、実際にプログラミングのしくみを学びました。
フィジカル・コンピューティングとは、既存の入出力装置(マウスやキーボード、ディスプレイ等)にとらわれず、コンピュータを使って物理社会に影響を与えていこうという考え方で、今回使うArduinoというマイコンも、工学の知識をほとんど持たない人にも容易に扱えるように設計されています。実験のコストを大幅に下げながら、自分がやりたい実験のための計測機器をコンパクトに作成できます。
読み込ませたArduinoのプログラムを少しずつ変えながら、LEDの点滅をコントロールする実習を行いました。また、ボリュームを接続して、LEDの明るさを調節するプログラムも体験しました。
さらに、Arduinoに光センサーや気温・湿度センサー、加速度センサーなどをつなげば、さらにいろいろなデータを収集することができます。こうしたセンサーも、秋葉原に行けば(またはwebサイトで)数百円で手に入るそうで、活用の可能性はどんどん広がっていきます。
海外の学生や研究者の間では、DIYの感覚で計測機器を開発・活用していくメーカームーブメントが一般的だそうです。こうした分野にも注目していくことが大切なのだと感じた特別授業でした。